空と海と、願いごと

 浜辺から駐車場に続く階段を上って『たいようの家』に戻ると、入り口で空に出会った。どこかで寄り道してきたのか、空は制服姿で学校用の黒いリュックを背負ったままだ。

「あれ、真凛、早かったんだね。友達との用事は?」

「友達……?」

「クラスの子と一緒に帰ってきたんじゃないの?」

 そうだ。そういう理由で空と帰る約束を断ったんだ。

 空に訝しむような目で見られて、わたしは少し動揺してしまった。

「う、うん。友達と一緒だったんだけど、早めに帰ってきたんだ」

 誤魔化すようににこっと笑うと、空が「ふーん」と言いながら海くんのほうを見る。

「もしかして、学校から帰ってきて、ふたりで一緒にいた?」

 空が、わたしと海くんを交互に見ながら尋ねてくる。空の怪しむような目に、わたしは心臓がドキドキした。