「あ、っぶな……。マジで焦った。大丈夫?」
耳元で海くんの掠れた声がして、わたしの心臓がどくどく激しく暴れ出す。
「う、うん……。ありがとう」
ドキドキしながら、海くんから離れようとしたとき。一瞬だけ、ふわっと爽やかな潮風に似た香りがした。
この香り、前にもどこかで……。そうだ。この前浜辺でパニックになったときに、わたしを助けてくれた人から感じたものと似てるんだ……。
『大丈夫。なにも心配しないで……』
ぼやけた視界に映った笑顔と、少し掠れた優しい声。空だと思っていたそれらが、ふと海くんの笑顔と声に重なって。心臓が、ドクンとなる。
あのとき、わたしを助けてくれたのは、やっぱり海くんだったんじゃ――?
もしそうだとしたら、空がわたしにウソをついたことになるけど……。理由がわからない。
浜辺でパニックを起こしたときのこと、海くんに直接聞いてみようか……。
迷っていると、海くんがわたしの肩を押すようにして離れる。
「行こっか」
海くんがそう言って、なんでもなかったみたいに歩き出す。
質問するタイミングを失ったわたしは、少し遅れて海くんの背中を追いかけた。
耳元で海くんの掠れた声がして、わたしの心臓がどくどく激しく暴れ出す。
「う、うん……。ありがとう」
ドキドキしながら、海くんから離れようとしたとき。一瞬だけ、ふわっと爽やかな潮風に似た香りがした。
この香り、前にもどこかで……。そうだ。この前浜辺でパニックになったときに、わたしを助けてくれた人から感じたものと似てるんだ……。
『大丈夫。なにも心配しないで……』
ぼやけた視界に映った笑顔と、少し掠れた優しい声。空だと思っていたそれらが、ふと海くんの笑顔と声に重なって。心臓が、ドクンとなる。
あのとき、わたしを助けてくれたのは、やっぱり海くんだったんじゃ――?
もしそうだとしたら、空がわたしにウソをついたことになるけど……。理由がわからない。
浜辺でパニックを起こしたときのこと、海くんに直接聞いてみようか……。
迷っていると、海くんがわたしの肩を押すようにして離れる。
「行こっか」
海くんがそう言って、なんでもなかったみたいに歩き出す。
質問するタイミングを失ったわたしは、少し遅れて海くんの背中を追いかけた。



