空と海と、願いごと

 ゴツゴツした岩の上を身軽に進む海くん。そのあとを、ヨタヨタとついていくと、岩場から砂浜に降りるところで、海くんが振り向いた。

「おれが先に降りて手を貸すから、ゆっくり降りてきて」

 そう言うと、海くんが先に砂浜に降りて、わたしを見上げて手を差し出してくれる。

「おいで」

 上に向かって伸ばされた海くんの手を、ドキドキしながらつかむ。

「ゆっくりな。転けたらケガするから」

「うん……」

 一歩ずつ、慎重に岩場を降りていくけど……。海くんとつないだ手をどうしても意識しすぎてしまう。そのせいか、ようやくあと一歩で砂浜に降りられるというところで、わたしは足を滑らせてしまった。

「ひゃっ……!」

「真凛!?」

 わたしの悲鳴と、海くんの焦った声が重なる。
 
 そのまま岩場から砂浜まで滑り落ちてしまう。そう思ったのに……。

 足を滑らせたわたしの体は、正面から海くんに抱き止められた。