もしかして、海くんが似合わない冗談を言ったのは、わたしが小坂くんのことで落ち込んでると思ったからかな……。
海くんが励ましてくれたんだと思うと、それもまた嬉しくて。胸の奥がきゅんとなる。
初めて感じる、ふわふわした気持ち。それに自分でも少し戸惑っていると、海くんが首元に手を伸ばしてTシャツの下からなにかを引っ張り出した。
海くんがTシャツの下に隠して首にかけていたのは、袋の口を茶色の紐で結んだ小さな青色の巾着袋。それにたしかな見覚えがあって、心臓がドクンと鳴る。
「海くん、それ――」
ドクン、ドクンと。緊張で、心音が速くなる。震える指で青色の袋を指差すと、海くんが「これ?」と小さく首をかしげた。
「これは、おれのお守り。この中に、ずっと前からさくら貝を入れてて――」
「それ、海くんも持ってたの!?」
海くんの言葉を遮って尋ねると、彼が戸惑い気味にうなずいた。
「このお守りがどうかした?」
「それと同じお守りを、空も持ってたから……」
空も持っていたというか……。引っ越ししてきた日。足に海の水がかかってパニックを起こしたわたしが、目覚めたときに握りしめていたのが海くんが持っているのとよく似たお守りだ。
それはわたしを助けてくれた人が持っていたもので……。目覚めたときにそばにいた空が、それは「自分のものだ」と言った。
あのときも、3年前に海で溺れかけたわたしを助けてくれたのも空だと言われて、なんの疑いもなく彼の言葉を信じた。
だけど……。あのときわたしが握りしめていたのは、ほんとうに空のお守りだったのかな。
海くんが励ましてくれたんだと思うと、それもまた嬉しくて。胸の奥がきゅんとなる。
初めて感じる、ふわふわした気持ち。それに自分でも少し戸惑っていると、海くんが首元に手を伸ばしてTシャツの下からなにかを引っ張り出した。
海くんがTシャツの下に隠して首にかけていたのは、袋の口を茶色の紐で結んだ小さな青色の巾着袋。それにたしかな見覚えがあって、心臓がドクンと鳴る。
「海くん、それ――」
ドクン、ドクンと。緊張で、心音が速くなる。震える指で青色の袋を指差すと、海くんが「これ?」と小さく首をかしげた。
「これは、おれのお守り。この中に、ずっと前からさくら貝を入れてて――」
「それ、海くんも持ってたの!?」
海くんの言葉を遮って尋ねると、彼が戸惑い気味にうなずいた。
「このお守りがどうかした?」
「それと同じお守りを、空も持ってたから……」
空も持っていたというか……。引っ越ししてきた日。足に海の水がかかってパニックを起こしたわたしが、目覚めたときに握りしめていたのが海くんが持っているのとよく似たお守りだ。
それはわたしを助けてくれた人が持っていたもので……。目覚めたときにそばにいた空が、それは「自分のものだ」と言った。
あのときも、3年前に海で溺れかけたわたしを助けてくれたのも空だと言われて、なんの疑いもなく彼の言葉を信じた。
だけど……。あのときわたしが握りしめていたのは、ほんとうに空のお守りだったのかな。



