「真凛は、その人のことが今も好きなんだ?」
「どうだろう……」
小坂くんのことは好きだったけど、会えなくなってからは彼のことをあまり思い出すことはない。
わたしが引っ越したあと、ミサが小坂くんと下の名前で呼び合ってると知ったとき、「裏切られた」って瞬間的に感じた。
だけど今考えてみれば、ミサがわたしにナイショで小坂くんと仲良くなってたことよりも、わたしがミサとシオリを信じて打ち明けていた気持ちが蔑ろにされたような気がして。それで、ショックだったんだと思う。
ミサとシオリは、わたしがいなくなったらわたしのことなんてどうだっていいんだ……。そんなふうに思ってしまったんだ。
「ここの海さ、夕暮れ時になると、たまに人魚が来るらしいよ」
海くんが唐突にそんなことを言うからびっくりした。
「人魚? なにそれ」
不愛想であまり感情を表に出さない海くんに、《人魚》なんて、おとぎ話みたいなワードは全然似合わない。ふふっと笑った思わず笑ったら、「いや、ほんとだって」と海くんがマジメな顔で返してきた。
「どうだろう……」
小坂くんのことは好きだったけど、会えなくなってからは彼のことをあまり思い出すことはない。
わたしが引っ越したあと、ミサが小坂くんと下の名前で呼び合ってると知ったとき、「裏切られた」って瞬間的に感じた。
だけど今考えてみれば、ミサがわたしにナイショで小坂くんと仲良くなってたことよりも、わたしがミサとシオリを信じて打ち明けていた気持ちが蔑ろにされたような気がして。それで、ショックだったんだと思う。
ミサとシオリは、わたしがいなくなったらわたしのことなんてどうだっていいんだ……。そんなふうに思ってしまったんだ。
「ここの海さ、夕暮れ時になると、たまに人魚が来るらしいよ」
海くんが唐突にそんなことを言うからびっくりした。
「人魚? なにそれ」
不愛想であまり感情を表に出さない海くんに、《人魚》なんて、おとぎ話みたいなワードは全然似合わない。ふふっと笑った思わず笑ったら、「いや、ほんとだって」と海くんがマジメな顔で返してきた。



