空と海と、願いごと

「そろそろ日が沈む頃かも」

 階段を上がると、ドアを閉めようとしていた海くんが空を見上げながらつぶやいた。

「屋上からだと、夕日がきれいに見えたりする?」

 わたしも夕方の空を見上げようとすると、海くんが振り向いて、いたずらっぽく笑った。

「おれ、ここよりもっと夕日が綺麗に見えるところ知ってるんだけど。行ってみる?」

 わたしを誘う海くんの少し掠れた低い声に、ドクンと心臓が鳴る。

「行ってみたい……」
 小さくうなずくと、海くんがわたしを見つめてわずかに目を細めた。

「おいで」

 屋上のドアを閉めた海くんが、わたしの手首を軽くつかんで引っ張る。そこに触れた海くんの手が、わたしの胸をドキドキと高鳴らせた。