「親に頼んで自転車買ってもらえば? 陸くんと海くんは、基本、毎日チャリ通だよ」

「そうなの? わたし、今日、海くんとバスで行ったよ」

 目をぱちくりさせると、暉くんが少し渋い表情になる。

「じゃあ、あんたに合わせてくれたんじゃない? ていうか、今日、海くんといっしょに学校行ったんだ。それ、空くんも知ってる?」

「別に言ってないけど……」

「ふーん。じゃあ、そのまま言わないほうがいいかもね」

「なんで?」

「空くん、海くんの話されるのすごく嫌がるから」

「あのふたり、前から仲悪いの?」

「さあ……? おれが昔はふつうに仲良さそうだったよ。ふたりが話さなくなったのは、この2〜3年なんじゃない?」

「そうなんだ。暉くんは、理由知ってる?」

「わかんない。一回、空くんに聞こうとしたことがあったんだけど、すっごく不機嫌になっちゃって。それからは聞けてないよ。ケンカしたのかなって思うけど、空くんが誰かと口きかないってよっぽどだし。海くんが、空くんが許せないようなことしたのかも……」

「ふーん……」

 空と仲がいい暉くんも、空と海くんがどうして仲が悪いのかわからないんだ……。空が許せないようなことって……。何だろう。