「わたしがわかったふうに言うと暉くんはむかつくかもしれないけど……。暉くんが『ごめん』って言えば、空は笑っていつも通りに接してくれると思うよ。空、優しいし」

「空くんが優しいのなんて、そんなの知ってるよ……」

　ぐすっと鼻をすすって言い返してくる暉くんは、ほんと、性格が可愛くない。ちょっと苦笑いすると、暉くんが横目にジッと睨んできた。

　まだなにか言いたいことがあるのかな。そう思って無言で見つめ返したら……。

「……、昨日、ごめん」

　意外にも、そんな言葉が聞こえてきて驚く。

「なんだ、ちゃんと素直に謝れるじゃん」

「……、うるさいっ……」

「でも、謝るならわたしのママにもだよ」

「……、わかってる」

　暉くんが、真っ赤になってふいっとわたしから顔をそらす。その言い方はひねくれてるけど、照れてる暉くんはちょっとかわいくて。不器用な暉くんのことが、嫌いじゃないかもって思えた。