空と海と、願いごと

「さっきも言ったけど、暉くんて、空とそれ以外の人だと全然態度が違うよね。二重人格? どっちが素なの?」

 暉くんにはどうせ嫌われてるし。今さら、よく思われたいとも、彼の前で取り繕おうとも思わない。だから遠慮なくはっきり聞いたら、ますます不愉快そうな顔をされた。 

「なんで空くんは、こんな性格悪い女がいいんだろう……」

 嫌みっぽくぼやく暉くんが、ちょっとむかつく。

「空の前では、わたしもここまで素は出してないからね」

「猫かぶってんのは、そっちもじゃん」

「暉くんほど、あからさまじゃないよ」

 言い返すと、暉くんがむっとした顔になる。

 だけど言われてみれば、わたしも空の前ではまだ気の強い部分をあんまり出していないかもしれない。

 海くんの前で素が出たときは、「昔より気が強くなった」とな「性格悪くなった」って笑われたけど……。

 空も、わたしの素の部分を見たら同じように思うかな。それを、どんなふうに受け入れてくれるかな。

 海くんみたいに、笑って今のわたしを受け入れてくれるかな。それとも、昔より気が強くて、ちょっと性格も悪くなったわたしに幻滅しちゃうかな……。そこまで考えて、ふと思った。

 あれ。空が「好き」だって思ってくれてるのは、もしかして、3年前のわたしだったりしないよね……? ちょっと気になってきたかも。そのとき。