冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心


もう遠慮はしない。

オス化?
いや、クールなオスになんてなれる気がしねぇ。
本人の許可が出るなら、もれなく野獣化決定なんだけど。

「嫌だったら遠慮なく、……抵抗しろよ?」

最終通告はしたからな?
じっと見下ろす先に映る彼女は、俺の理性をぶっ飛ばすには余裕で。

「……れ、…ん?」

その声、反則。
腕の中の感触だけでも限界なのに。
耳の奥に響く甘い声音に、胸の奥からぶわっと“好き”が溢れ出す。

あっ……。
ブレザーの背中部分がキュッと掴まれた。
その仕草一つで、きゅん死しそう。


まどかと出会って、『好き』の世界を初めて知った。
今まで勉強でもスポーツでも、好きになれたモノが1つも無かった俺に、毎日幸せすぎるときめきを与える彼女。

明るくて頑張り屋で、何事にも全力投球で。
隣りにいる俺まで、キラキラに輝かせてくれる存在。

存在すらしてなかった『執着』という概念を教えてくれて。
今はその執着に溺れる自分に言葉に出来ないくらい幸せを感じる。

だって、執着できる存在があるってこと自体が、奇跡だと思うから。

彼女との関係はじっくり時間をかけて味わいたい。
毎日一緒にいるんだから、急ぐ必要なんてどこにもない。

どんな風に過ごすかじゃなくて。
『誰』と過ごすかが、一番大事だと思うから


フローラルな香りを纏う髪に。
さらさらの前髪を横に流して、おでこに。

ぱちぱちと瞬きするくっきり二重の瞼に。
桜色に染まるもちもちの頬に。
スッと通った鼻梁に。

「まどか、好きだよ」

甘い吐息が漏れ出す小さな唇に、キスを。


~FIN~