人間がどうあがいたって、努力したって、時の流れを止めることはできない。

 気が付けば年が変わり、冬休みもとっくの昔に終わった。だけど莉桜とのNGワードゲームは終わっていない。──すなわち、まだ彼女から「これからもずっと生きていたい」という言葉を引き出せずにいる。

 ただ幸いにも、莉桜は最近定期的な検診以外で学校を休んだりはしていない。状態は落ち着いたまま、穏やかな毎日を送れているようだ。この前も校内模試で一位を獲得し、僕の元へ大いに自慢しにくるなどした。


 そんな健康面では現状を維持しているように見える彼女だが、今週に入ってから少し様子がおかしくなった。



「莉桜、次移動教室だぞ」


「んー……」



 声を掛けても、このような聞いてるのか聞いていないのかわからないような返事しか返ってこない。というか立ち上がる気配を見せないからたぶん聞いてないのだろう。