「じゃあ、お望み通り心配してあげるよ。……そろそろ死ぬだって? どうして? なぜ突然そんなことを言いだすんだやめてくれよ莉桜」


「あは、すっごい棒読み」


「僕に演技力を求めないでくれ」


「やり直し。テイク2!」



 莉桜がいつもこのようなノリで話すから、僕は未だに騙されているのではないかと思うことがある。


 だけどまぎれもない真実なのだ。



 莉桜は生まれつき、心臓に欠陥を抱えている。



 心臓の弁が上手く機能していないのだと、本人が何度か細かく詳しく解説してくれた。完全な治療ができないということも聞いている。


 実際彼女は幼い頃から入院を繰り返しており、学校は休みがちだった。しかし頭が良いのと中学の先生が気を利かせて内申点をいじってくれたおかげで、無事僕と同じこの高校に在籍できている。