僕はやれやれと呆れたように肩をすくめてみせた。

 だけど実は内心、少し暗い気分になっていた。これに対する莉桜の返答は何となく予想がついていたからだ。

 彼女には、口癖のように繰り返す言葉がある。



「深刻に思ってないんだもん。いつ死んだっていいと思ってるから」



 予想通りだった。

 いつ死んだっていい。これこそが彼女の口癖だ。


 死と隣り合わせの病と昔から付き合っていれば、自然とそういう心持ちになるのだとか。



「ねえ、フリースペース書くことなくて困ってるなら、私が久しぶりに登校してきたことに対する喜びをいっぱいいっぱいまで綴っておいてよ」



 なるほど。僕はうなずいて、フリースペース一行目に『莉桜が退院して約一か月ぶりに登校。全く授業受けてなかったくせに小テスト満点で腹が立った』と書いておいた。


 書きながら、言うべき言葉を探していた。