誰もが認める美少女で、さっぱりとした明るい性格。

 病気のことで周りから敬遠されているが、裏を返せば、それを知らない人から莉桜は当然モテる。


 だから僕は、廊下を歩いているとき彼女がどこぞの上級生に告白されている場面に偶然出くわしたとして、そこまで驚きはしないのだ。



「前からすごく可愛いなって思ってたんだ。付き合ってくれませんか?」



 にこにこ笑顔の明るい髪色をした(ヘアカラー禁止の校則をここまで堂々と破っているのは珍しい)派手なイケメンは、自分がフラれるなんて想定は、たぶん一ミリもしていない。

 莉桜はそんな彼に応えるように満面の笑みを浮かべ、わざとらしく手を合わせて「嬉しいです!」と言う。



「先輩みたいな格好いい人からそんな風に言ってもらえて、あの、嬉しいし、恐れ多いっていうか……」


「いやいや、だってキミ、めちゃめちゃ可愛いし」


「そんなことないです! うぅ、恥ずかしいです……」




 ……何ともわざとらしい。僕は廊下の曲がり角の死角に隠れたまま行く末を見守ることにした。