「あは、入部はまあ前向きに検討します。ペンネームは……そうだな、リオデジャネイロとか?」
何故かブラジルの都市が出てきた。莉桜だけにってか。
「櫻田くんの彼女、文章力すごいけどネーミングセンスは微妙ね」
「あれ、ダメですかね?」
心底不思議そうな表情を見るに、本人はネタでなく本気でアリだと思っているらしい。
そしてそのまま矛先がこちらに向いた。
「じゃあ佑馬、何か私にいいペンネーム考えて」
「……突然言われても。僕は本名をそのままペンネームにしてるけど、それじゃダメなのか?」
「面白くないじゃん」
「そうか。……なら“勇気”でどうだ? 英語でcourageの勇気」
僕の彼女だと堂々と嘘をついてみたり、文芸部部長に対してあっさり創作に興味がない発言してみたり。勇気があるというか怖いもの知らずの莉桜にぴったりだろう。
「シャレがきいてて悪くないけど可愛さに欠けるなあ」
「リオデジャネイロは可愛かったのか?」