小学校へ通うことは医者から許可が出たものの、そこでも制限はあった。

 一番わかりやすかったのが体育の授業への参加禁止。心臓の病気を持っていても、症状の度合いによっては軽い運動ができることもあるそうだが、莉桜は完全に禁止されていた。

 皆がわいわいスポーツに興じる中、日影や体育館の隅で毎回退屈そうに見学している姿をよく見かけた。


 それでも、低学年のうちは良かった。

 心臓の病気があるから運動ができない、という教師の説明に皆納得しており、むしろ莉桜が少し早歩きでもすればあちこちから心配の声が上がったぐらいだ。


 様子が変わったのは3年生か4年生になる頃。



「あんなにずっと見学ってことあり得る? 絶対サボりだよね」


「心臓のビョーキってのも怪しいよ。普通に元気そうじゃん」


「体育あんなにサボって許されるなら、私もビョーキになりたいぐらい」


「わかる~」