当然ながら、心の中の問いかけに答えはない。

 だけど、彼は呆れたような、それでいて優しい表情で、莉桜の話を聞いてくれているような気がする。



 どれぐらいの間、佑馬と向き合っていたのだろう。

 他の墓参りに来たらしき人たちの声が聞こえてきて、莉桜は静かに立ち上がった。


 ……じゃ、また来るね。



 空は雲一つなく、嘘のように青い。


 莉桜がすっと深く息を吸い込んだとき、強めの風が吹いた。

 近くにあった桜の木から、大量の花びらが雨のように降り注ぐ。


 もう散り始める時期か。莉桜は服についた花びらを摘み、光に透かしてみる。


 桜の花の寿命は短い。短いからこそ愛でられる。

 かつて長くは生きられないと言われてきた莉桜は、寿命の短さ故に愛される桜の花に何度も励まされた。

 だけど今は思う。花はそれを望んでいるのだろうか。愛でられなくても良いから、もっと生きていたいと思ったりはしないのだろうか、と。