「ユウも、作家になってたんだな」


「ええ。高校2年になってすぐ文芸部に入ってから、ずっと創作活動を続けてて。今も大学で勉強しながら書いてるんですけど、去年賞をもらってデビューさせてもらいました。……残念ながら知名度は無いに等しいですけど。先輩も知らなかったみたいですしね」


「すまん」




 逆に莉桜は、卓が本名と同じ名前で小説家になっていることを知っていた。


 卓が高校に在学していた頃、莉桜何度も小説を書くコツを聞きに行っていた。佑馬や他の部員には何となく聞きづらかったのに、卓は部長という立場だったからなのか、相談がしやすかったからだ。

 相談をするうちに卓の小説に向き合う姿勢が見えてきて、きっとこの人は将来プロになるだろうと直感していた。だから、高島卓という名の作家がいないかどうか、定期的に調べていたのだ。



「それにしてもどうして……その名前を、ペンネームにしたんだ?」