何かわかりやすいキャラクターになるのはどうか、と提案してくれたのは担当編集の山本加菜。莉桜がそのキャラ付けに僕っ子キャラを選んだのは、本物の佑馬を意識しているからに他ならない。



「パーティーの参加者名簿に櫻田の名前があって本気で驚いたよ。まさか幽霊が来てんのかってな」



 卒業後であったが、佑馬の訃報は卓にも届いていた。

 聞いてみれば、時々墓参りにも行っているそうだ。



「だがそうか、櫻田のかの……じゃなくて悠木も──」


「先輩。今この場には、小説家の櫻田佑馬として参加しているので、良ければそう呼んでください」


「ああそうか。じゃあ櫻田……いや、やっぱり違うだろ」



 卓はしばらく難しい顔で考えこんだ後、「ならユウだ。これからお前のことはユウと呼ぶ」と宣言した。

 悠木(ユウキ)のユウであり、佑馬(ユウマ)のユウでもある。これなら呼ぶのにも違和感がないし、周りが聞いても佑馬の愛称だと思ってもらえるだろう、と。