かろうじて出てきた言葉もあっさりと返されてしまい、口ごもる。動揺のあまり手が震えてきたので、佑馬は一度箸を置いた。

 卓もそれに合わせたようにカチャンと音をたててグラスを置く。


 そして、彼は先ほどよりもいくらか緊張がうかがえる声で言った。








「もう一度言う。結婚しよう、ユウ。いや──……









悠木(ゆうき)莉桜さん」









 深く、長く息をついた。

 何とも形容しがたい気分になり、とりあえず笑ってみた。






「……あは。本名で呼ばれるの、何だか久しぶりな気がします」