入学時からクラスメイトや教師、家族との思い出が順々に語られていったのだが、面白かったのは部活動のくだりだ。


 何部に所属しているのかを伏せたまま、いかに苦しみ、努力し、メンバーに救われたのかということを熱く語った。そしてその話題の締めくくりになって「文芸部で過ごした日々は宝物です」と部活動の正体をようやく明かした。

 ガタイの良い高島先輩の外見から、多くの人はサッカー部かバスケ部あたりだろうと思い込んでいたらしい。感動的な雰囲気だったにもかかわらず、その瞬間は結構ざわついていた。答辞に叙述トリックが使われるなんて普通思わないから当然かもしれないが。



「まあとにかくお疲れ様です。7人ではとてもじゃないけど食べきれない量のお菓子用意してるので、遠慮なく食べてください」



 僕は机の上に広げられたスナック菓子やジュースを指しながら言った。一年生で下っ端の僕が主に準備をしたので、ちょっと得意げになってしまうのは許してほしい。