『皇様、僕は…決してこんな事態になるとは…律を危険な目に合わせるなんて…っ』


『分かっている。ケルベロスにも言って律を守らせる』


『…ありがとうございます』


『顔を上げろ、ノワール』


『はい』


『自分を責めるな…俺はこう思う。お前が律に会ったのも運命』


『…』


『折れるはずのない牙が折れたのも、ルージュの封印が緩んできたのにも何かしら理由がある』


『そうでしょうか? 』


ノワールのグレーの瞳が苦悩の色に染まる。