半月後、結局、協議離婚という形で話は収まった。健史が全面的に降参したからだ。
あれから健史は弁護人を探していくつかの弁護士事務所を当たった。ところが、画像を見せるとみな辞退すると言うのだ。
五件目の弁護士事務所で若い弁護士が一度は受けてくれたのだが、その日の夜に電話があり、辞退したいと告げてきた。
いい加減頭にきていた健史が追及すると、その弁護士は渋々ながら真実を告げた。
『藤本さんは少し誤解されています』
「? 誤解?」
『はい。藤本さんは画像が奥様の不貞行為の相手とおっしゃっていますが、この人物は連絡されてきた島津弁護士です』
「……え?」
『藤本さんは混同されているようです。ウチのベテラン弁護士も確認いたしました。藤本さんが撮られたこの写真は、奥さんの浮気の現場ではなく、弁護士になんらかの相談をしているところだと思います』
「…………」
「藤本さん、ご自身になにかやましいことはございませんか? 奥さんが弁護士に相談されるようなこと、思いつきません? と申しますのも、この男性、エリート弁護士と評判の島津先生にそっくりなんですよ。もしそうなら、非常に不利です』
「エリート弁護士……」
『えぇ。T大の医学部を出ていまして、医学の知識に豊富な弁護士でね。実際、医療関係のトラブルを積極的に取っているキレ者です。さらに、まだ三年目ですが無敗です。藤本さん、やましいことがなければいいですが、そうでないなら先方はきっと万端整えているはずです。協議離婚で片づけたほうがいいと思います』
そういうわけで身に覚えのある健史はすっかり威勢を失い、茜に浮気を疑ったことを謝った。
対して茜は離婚の意思を伝え、和泉法律事務所の応接室で拓斗の立ち合いのもと、離婚が成立した。
証拠写真を前に力なく項垂れる健史を憐れに感じた茜は、結局慰謝料を請求しなかった。
後日、健史は茜の口座にわずかばかりの金を振り込んできた。謝罪のつもりらしい。メールで一言『ありがとう』と返したのを最後に、藤本健史の携帯番号もメールアドレスもきれいさっぱり削除し、二人の関係は完全にピリオドを打ったのだった。
あれから健史は弁護人を探していくつかの弁護士事務所を当たった。ところが、画像を見せるとみな辞退すると言うのだ。
五件目の弁護士事務所で若い弁護士が一度は受けてくれたのだが、その日の夜に電話があり、辞退したいと告げてきた。
いい加減頭にきていた健史が追及すると、その弁護士は渋々ながら真実を告げた。
『藤本さんは少し誤解されています』
「? 誤解?」
『はい。藤本さんは画像が奥様の不貞行為の相手とおっしゃっていますが、この人物は連絡されてきた島津弁護士です』
「……え?」
『藤本さんは混同されているようです。ウチのベテラン弁護士も確認いたしました。藤本さんが撮られたこの写真は、奥さんの浮気の現場ではなく、弁護士になんらかの相談をしているところだと思います』
「…………」
「藤本さん、ご自身になにかやましいことはございませんか? 奥さんが弁護士に相談されるようなこと、思いつきません? と申しますのも、この男性、エリート弁護士と評判の島津先生にそっくりなんですよ。もしそうなら、非常に不利です』
「エリート弁護士……」
『えぇ。T大の医学部を出ていまして、医学の知識に豊富な弁護士でね。実際、医療関係のトラブルを積極的に取っているキレ者です。さらに、まだ三年目ですが無敗です。藤本さん、やましいことがなければいいですが、そうでないなら先方はきっと万端整えているはずです。協議離婚で片づけたほうがいいと思います』
そういうわけで身に覚えのある健史はすっかり威勢を失い、茜に浮気を疑ったことを謝った。
対して茜は離婚の意思を伝え、和泉法律事務所の応接室で拓斗の立ち合いのもと、離婚が成立した。
証拠写真を前に力なく項垂れる健史を憐れに感じた茜は、結局慰謝料を請求しなかった。
後日、健史は茜の口座にわずかばかりの金を振り込んできた。謝罪のつもりらしい。メールで一言『ありがとう』と返したのを最後に、藤本健史の携帯番号もメールアドレスもきれいさっぱり削除し、二人の関係は完全にピリオドを打ったのだった。



