「夢のあるファンタジー系の冒険モノがいいな」
茜の脳裏に一本の映画が浮かんだ。
初めて拓斗と一緒に観に行った映画。ドキドキして、内容などはっきり覚えていない映画。だが、今まで観たどの映画よりも幸せを感じた映画。
「島津君」
「それからもう一つ。俺のこと、拓斗って、以前のように呼んでほしい」
「…………」
「ダメかな」
「……うれしい」
「ホント? よかった。イヤだって言われたらどうしようかと思ってたんだ。でもここから先は離婚が成立してからにする。茜はまだ藤本健史の配偶者だから」
「うん。ありがとう」
浮かれた気持ちで拓斗と別れた茜は、家に帰るや否や健史に怒鳴られた。
何事かと思いきや、浮気現場を押さえたから、言い逃れはできないというのだ。
茜は驚いて言葉を失った。
「これだ」
スマートフォンに写し出されたのは、ファミレスで拓斗と会話をしている姿だった。
(ウソ!?)
「毎週土曜、こそこそ出かけるから跡をつけたんだ。なにが友達と会ってくるだ! この売女! 慰謝料、しっかり払ってもらうからな!」
「なによ、あんただって」
浮気してるじゃない、こっちには証拠があるのよ! そう怒鳴りそうになって慌てて呑み込んだ。拓斗に言うなと言われたばかりだ。
「俺がなんだって!?」
「私のことほったらかしで遊び回ってるじゃない。なにが接待よ、経理が接待なんてあるわけないじゃない! 離婚? けっこうよ。すぐにサインするわ。だけど慰謝料を払う覚えはないから、どうしてもって言うなら裁判よ!」
茜は叫ぶと部屋を飛びだした。
近くの公園に駆け込み、スマートフォンを取りだして拓斗にかけた。そして一気にまくしたてた。
『そう、わかった。でも気にしなくていいよ。俺を信じて』
明るい拓斗の声を聞くと、茜は冷静さを取り戻し、拓斗を信じていようと心に決めた。
茜の脳裏に一本の映画が浮かんだ。
初めて拓斗と一緒に観に行った映画。ドキドキして、内容などはっきり覚えていない映画。だが、今まで観たどの映画よりも幸せを感じた映画。
「島津君」
「それからもう一つ。俺のこと、拓斗って、以前のように呼んでほしい」
「…………」
「ダメかな」
「……うれしい」
「ホント? よかった。イヤだって言われたらどうしようかと思ってたんだ。でもここから先は離婚が成立してからにする。茜はまだ藤本健史の配偶者だから」
「うん。ありがとう」
浮かれた気持ちで拓斗と別れた茜は、家に帰るや否や健史に怒鳴られた。
何事かと思いきや、浮気現場を押さえたから、言い逃れはできないというのだ。
茜は驚いて言葉を失った。
「これだ」
スマートフォンに写し出されたのは、ファミレスで拓斗と会話をしている姿だった。
(ウソ!?)
「毎週土曜、こそこそ出かけるから跡をつけたんだ。なにが友達と会ってくるだ! この売女! 慰謝料、しっかり払ってもらうからな!」
「なによ、あんただって」
浮気してるじゃない、こっちには証拠があるのよ! そう怒鳴りそうになって慌てて呑み込んだ。拓斗に言うなと言われたばかりだ。
「俺がなんだって!?」
「私のことほったらかしで遊び回ってるじゃない。なにが接待よ、経理が接待なんてあるわけないじゃない! 離婚? けっこうよ。すぐにサインするわ。だけど慰謝料を払う覚えはないから、どうしてもって言うなら裁判よ!」
茜は叫ぶと部屋を飛びだした。
近くの公園に駆け込み、スマートフォンを取りだして拓斗にかけた。そして一気にまくしたてた。
『そう、わかった。でも気にしなくていいよ。俺を信じて』
明るい拓斗の声を聞くと、茜は冷静さを取り戻し、拓斗を信じていようと心に決めた。



