それを見た瞬間、血の気が引いて、自己嫌悪が俺を襲う。



「うわぁ……」


最悪だ……。

俺の不注意で、こんなに美しい絵を台無しにしてしまうなんて。

俺はどうしようもなく頭を抱えたまま立ち尽くした。

茶色い斑点の汚れが着いてしまっている。

おそらく、まだ絵の具が乾いていなかったのだろう。

真っ白な地から、ほんのりとガソリンのような油っぽいにおいがした。


「ハル、大丈夫か!?」


アオが俺を心配して、こちらへ駆け寄る。


「あぁ、俺は平気だ。でも……」


俺はなんてことをしてしまったんだろう。

胸がざわめいて、手に汗がにじむ。

この絵を描くのに、きっと何時間も何日も時間を費やしたにちがいない。

そんな誰かの努力を一瞬で水の泡に帰してしまうなんて。


「あっちゃ……これはシャレにならないやつだな……」


アオの表情から、絶望がにじみ出ていた。

心の底から湧き上がる後悔の波が、俺たちを襲う。


どうしよう……。

こんなことになるんだったら、ここでサッカーなんてやるんじゃなかった。


どうすることもできずに、心の中で自分を責めながら絵の前にアオとふたりで突っ立っていると――。