アオハルを走るボクらは、出会いと別れをくり返して。



「九条くん、顔を上げて?」


すると、九条くんがゆっくりと顔を上げた。

その表情は、まだ反省の色が残っている。


「九条くん、私も今まで九条くんの気持ちをわかってあげられてなくてごめんね。でも、私は誰が何と言おうと、九条くんの絵が好きだよ。それだけは本当だから、自分の夢を諦めないで」


いつかとは断言できないけれど、絵を描き続けていればきっと九条くんの絵を評価してくれる人が現れる。

九条くんの絵は、それだけ魅力的だから。


「ありがとう、なぎ。俺、またがんばるよ。だから、またいっしょに絵を描いてくれる?」

「もちろんっ!」


やっとおたがいに目を合わせて、ほほ笑み合う。


「あのね、ボツにしようと思ってたこの絵、やっぱり最後まで描きあげることにしたんだ」

「そっか、それならよかった。なぎの絵、楽しみにしてるよ」

「ありがとう。私も九条くんの絵、楽しみにしてるね」


九条くんと笑顔で和解ができて、美術室に柔らかな空気が流れる。

また九条くんといっしょに切磋琢磨しながら絵を描けることが何よりもうれしい。

そう思った瞬間、朝の光が温かく差し込んで、美術室の色彩がやけに鮮やかに見えた。