「やっと笑ってくれましたね。よかった……」
永瀬くんが安心したようにほほ笑んだ――その瞬間。
私はとても恥ずかしくなって、急いで顔を両手で覆い隠した。
胸の鼓動が高鳴って、顔も体も熱くなるのを自覚する。
しまったぁ……。
今日初めて会ったばかりの、しかも後輩にこんな醜態を晒してしまうなんて。
穴があったら入りたい気分だ。
「ごめん……今日のことは全部忘れて」
「どうしてですか?」
「それはっ! こんな姿、誰にも見られたことなかったから……」
すると、隣からケタケタと笑いだした。
「それならなおさら忘れませんよ、絶対に」
「どうして!?」
「それは、桜庭さんが俺だけに見せてくれたからです」
そう言って、イタズラな笑みを浮かべる永瀬くん。
恥ずかしさで心臓が早鐘を打ち、さらに顔も体も熱くなる。
「もう……永瀬くんのイジワル……」
永瀬くんが、こういう人だったなんて。
弱みを見せる人を間違えたかもしれない。
そんなことを思っていると、永瀬くんが口を開いた。
「桜庭さん、もしまた苦しくなったら、俺を頼ってくださいね。俺はいつでも桜庭さんの味方なので」
永瀬くんの言葉が、私に力をくれるようだった。
「うん、ありがとう。がんばって描きあげてみるね」
「はい! 完成したら、また見せてください」
「わかった」
私たちは顔を見合わせて、ほほ笑んだ。



