アオハルを走るボクらは、出会いと別れをくり返して。



「あのとき、俺たちのチームが負けたのに……『俺には負けたから、次こそは勝つ』って、ふたりして言われたことかな」


大迫さんにそう言われて、あのときのことをふと思い出す。


サッカースクール時代、俺たちのチームは大迫さんたちに勝ったけれど、個人の実力では遠く及ばなくて、素直には喜べなかった。

その気持ちは、今でも変わっていない。


「当然ですよ。今回は大迫さんと同じチームですが、俺たちは負けません」

「俺もハルと同じ気持ちです。俺たちはまだ1年生ですけど、絶対にレギュラーを勝ち取りますから」


俺とアオが宣言すると、大迫さんが声をあげて笑った。


「ははっ! お前たちは相変わらず面白いな。もちろん、(のぞ)むところだよ。“才能”あふれるふたりと同じチームでやれる機会なんて、そうそうないからね。楽しみにしてるよ」


大迫さんは俺たちをライバルとして認めながら、チームメイトとして暖かく迎え入れてくれた。

その一方で、“才能”という言葉がどうしても俺の中で引っかかる。


「あのっ! 大迫さんの言う“才能がある人”って、どんな人ですか?」


俺の質問に、大迫さんは一瞬考え込んでから、笑顔で答えた。