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「なぎ、九条くん、また明日!」
「うん。沙夜、気をつけて帰ってね!」
「三池、またな!」
放課後になって、沙夜に手を振って別れたあと、私は九条くんと美術室へ向かう。
美術室はいつもの静けさだ。
美術部は自由だから、毎日誰かがいるわけじゃない。
だから、ここにいるのは決まって私と九条くんのふたりだけ。
今日も、他の部員の気配はない。
私は、今朝描いていた絵をイーゼルに立てかけて再度眺める。
『世界絵画コンクール』の応募締切までもうそんなに時間がない。
今朝描いた桜並木の絵を完成させるべきか、それとも別の絵を描き直すべきか。
どちらがいい選択なのか考え込む。
「おお! 桜の絵だ。スゴいな、もう完成してる」
背後から私の絵を見て、感心したように言う九条くん。
「もしかして、これって校内の桜並木か?」
「うん、そうだよ。よくわかったね」
「なぎが描く絵は写真みたいにリアルだからな」
「……ありがとう」
九条くんの賞賛はうれしいはずなのに。
心の中では、どうしても不安が拭いきれなかった。
私はこの絵の完成度に満足していない。
本当に評価される絵なのだろうかと、疑問が頭をよぎる。



