「俺は、ハルが桜庭さんに言ったことが間違ってるとは思わない。ただ、何を才能と言うのかは人それぞれだから、ハルの言ったことが桜庭さんにとって必ずしも正解とは限らないのかもな」
――何を才能と言うのかは人それぞれ。
その言葉が、胸に突きささる。
俺たちで言うなら、サッカーが上手いと言われても、必ず試合に勝てるわけじゃない。
それどころか、結果を残せば残すほど、周りの期待はどんどん大きくなる。
そんなプレッシャーの中で「絶対に勝てるよ!」という言葉を浴びせられて、果たして本当に本領を発揮できるのだろうか……。
いや、俺だったら焦ってミスばかり連発してしまうな――“あのとき”みたいに。
……そうか。
もし桜庭さんも同じような思いを抱えているとしたら――。
俺の励ましの言葉は、桜庭さんにとってプレッシャーになっていてもおかしくはない。
それに気づいた瞬間、後悔の波が押し寄せてきた。
「ああ……俺、桜庭さんにかける言葉、間違えてたわ」
自分の不甲斐なさに頭を抱えていると、アオが俺の肩をポンポンと叩いた。
「大丈夫だって。きっと桜庭さんもハルの気持ちをわかってると思うし。それに、ハルなら桜庭さんに寄り添える言葉を見つけれられる。だから、そんなに気に病むなよ」
アオのおかげで、気持ちが少し軽くなった。
「ありがとう、アオ」
きっと、今の俺では桜庭さんの力になれない。
それでも、俺は桜庭さんを応援せずにはいられなかった。



