「3年の桜庭なぎさん、演壇の前へ来てください」
……“桜庭なぎ”。
聞き覚えのある名前に、俺は再び演壇に目をやった。
――やっぱり、“あの”桜庭さんだ。
「全国絵画コンクール大賞、桜庭なぎさん」
校長先生が桜庭さんに賞状と金の盾を渡す。
拍手の中で、小さくお辞儀する桜庭さん。
でも、その表情はどこか曇っていて、喜んでいるようには見えなかった。
表彰されるほどの絵を描ける桜庭さんが、どうしてこんなにも苦しそうな顔をするのだろうか。
それをわかってあげられたら、力になりたいのに……。
今の俺にできることが何も見つからないという無力さがもどかしくて――ただただ悔しい気持ちでいっぱいだった。



