【世界絵画コンクール大賞 桜坂高校1年生 桜庭なぎ】


この絵を描いたのは、やっぱり桜庭さんだ。

なにかしらの賞を取るような絵を描く人だとは思っていたけれど、ここまでの実力の持ち主だったとは。

改めて桜庭さんの実力を思い知る。


「すげぇなぁ……」


つい心の声が()れた。

当時、桜庭さんはどんな思いで描いていたのだろう。

そんなことを考えていたそのとき、作品名が目に留まった。


【夢】


もう一度、桜庭さんの絵をよく見てみた。


絵のタイトルをそのまま考えると、“女の子”の夢は画家で、“男の子”の夢はサッカー選手だと推測できる。

もしかして、この“女の子”は桜庭さん自身なのだろうか。


もしそうなら、どうして作品名を【夢】にしたのか納得がいく。

この絵は、きっと桜庭さんの夢が表現されているんだ。


『私はただ絵を描くのが好きなだけで、永瀬くんが思ってるような才能なんて持ってないよ』


桜庭さんの絵は世界で認められているのに、“絵を描く才能がない”なんてありえない。


いったいなにが桜庭さんをそう思わせているのだろうか。