麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑦/危険色の進路決す!

過激な夏の扉/その2
真樹子



麻衣さんの笑いながらの説明も最高だった

「…今後、キャビネットの傘の中に軸足が移ってってことも念頭にしてるのはさ、木戸ちゃんもこっちサイドも事前に了承してることなんで…。まあ、それはいいんですが…。なにしろ火の玉に参陣しなかったメンバーからは、周囲から逃げたって論調がキツイらしくて…」

まあ、そうなるわよね、今の論調の流れからすれば…

「…そんで結局は、木戸ちゃんがみんなを誘導してって方向に落ち着いちゃったらしいんですよ、南玉内は。恵川先輩も木戸ちゃんにおっかぶせてるようで…。そこで、火の玉に向かった連中だって、そもそも戦ってないと…。まあ、これは事実ですよね。でねえ、アハハ…、これがケッサクなんですけど、横田と一緒に火の玉で先陣張ってた本田多美代を、この際ターゲットにいじってくれってんですよ」

アハハハ…

確かに傑作だわ、その思いつき…


...



木戸の組み立ては、”こういうこと”のようだ…

本田が刻限ギリギリの段階でビビッて、南玉外部の横田にタイマンを押し付け、南玉メンバーの集まってる場所に応援要請で戻った

つまり、本田だって逃げて帰ってきたと…

要するに、臆病者は私達だけじゃないって主張なんだろうけど、狙いどころを本田一本に絞った訳ね

横田を担ぎ上げて、いざとなったら自分は彼女を一人置き去りにして南玉に逃げ帰った

こんなストーリーか

さすが、えぐいわ、あの人…(爆笑)


...


でも私的には賛成ね

そこで、私から三田村さんには具申した

「先輩、なるべくなら木戸の要請は叶えてあげたいですよ。本田は、狂犬娘の後ろで吠えてたイケイケ軍団の先頭格で、久美をぶん殴った憎らしい奴です。どうですかね。できます?」

「ああ、容易いよ。シチュエーション的にもさ、横田が部外者だったってとこを突けるからね。土壇場で南玉入りを本田が発案して、無理やりってことにしちまえばいい。火の玉川原を往復したって、自分は戦っていない。川原に行かなかった連中とさして変わりないだろうって持ってき方もできるしね。特に横田は、南玉が誰も戦わなかったのに、なんてエライんだ!って風潮が出来上がってるからさ。それの延長で流れてくよ」

「…」

わー、さすがだ…

私は隣の麻衣さんと顔を見やって、二人揃って呆気にとられていたわ…