うっかりではない。これは、わざとだ。
 こう言ったらペリウィンクルはどんな反応をするのだろうと、そう思ったら見てみたくて仕方がなくなった。
 ちょっとした仕返しの意味もある。だって自分はこんなにもペリウィンクルに振り回されているというのに、彼女はちっとも動じていないのだから。

「うぇっ⁉︎ あるの⁉︎」

 ヴィアベルの答えに、ペリウィンクルは後退りながら驚いた。
 そこまで驚くことか、とヴィアベルは不機嫌そうに唇を歪ませ、彼女を睨む。

「おまえ、私をなんだと思っている?」

「え、ヴィアベルはヴィアベルでしょ」

 ケロリと言われては、毒気も抜ける。
 一世一代の大勝負とはいかないが、それなりに覚悟を決めて言った台詞だっただけに、ヴィアベルは少なからず落胆した。