それよりも今は、サントリナの恋をどうやって応援するかを考えたいと、ペリウィンクルは思っている。

 午後のお茶にと選んだカモミールティーを淹れつつ、ペリウィンクルは悩ましげに息を吐いた。
 そんな彼女のそばでは、ローズマリーが頰に手を添えながら残念そうに、

「ああ、なんてつまらないのかしら。わたくし、探偵の衣装を着て“犯人はあなたね”ってやってみたかったのですわ」

 とぼやいている。

(ここは乙女ゲームの世界であって、推理小説の世界ではないのですよ、お嬢様)

 ペリウィンクルは言いかけたが、思うだけに留めて言葉を呑み込んだ。

 探偵の格好をしたローズマリーは、さぞかわいいだろう。
 鹿撃ち帽にインバネスコートを合わせた彼女に「犯人はあなたね」と指差されたら、たとえ冤罪》でも「はいそうです、私が犯人です」と言ってしまいそうだ。