紅茶のおかわりを準備する体で、ペリウィンクルは話し合う三人からそっと離れた。
 ワゴンに乗せたティーポットの影で、隠密活動をしている過保護な妖精を見つける。
 ペリウィンクルが丸々としたおなかを指でつつくと、妖精はぷっくりとした手で抗議するようにペチペチしてきた。

「ねぇ、ヴィアベル。リコリス様がどこにいるか、探してきてくれない?」

 妖精は、くりくりとした目でペリウィンクルを見つめ、それから溶けるようにしゅわりと消えた。

(サントリナ様は、杞憂だと思いたいんだろうな。でも、そう思うということは、ヒロインがやったと確信している気もする……)

 ペリウィンクルは思索する。
 シナモンを攻略したと確信したヒロインは、彼がすっかり自分に夢中なのを良いことに、放置した。
 そんな彼女が次にしたことは、次のターゲット──ニゲラの攻略である。

(ヒロインは、逆ハーレムルートを狙ってるのではないかしら)