星蘭高校に赴任してきて2か月、、、、今月末には生徒のみんなが楽しみにしている体育祭が待っている。
クラス対抗で優勝を競うらしい、、、教科担任の先生は任意で生徒の試合に参加するのか決めるらしいのだが保険医の私には救護という大切な使命があるので試合には参加出来ない、、、まぁ参加しても運動が苦手な私には関係ないのだが。
赴任初日のあの日から舞ちゃん・巧斗くんとは時々飲みに行くくらい仲良くなったと思う。
さんづけで呼ばなくなったのは進歩。
そしてこの2か月の間に2人の人気は上がり、廊下ですれ違う時・職員室などいつみても生徒や他の先生に囲まれていた。
私は少しずつながらも、保健室に遊びに来てくれる生徒と仲良く話せるようにまでなった。
今は、月末の体育祭の話を肴に同期の三人で飲みに来ている。

「あぁ~!仕事の後の一杯最高だね!!」

「舞ちゃん毎回飲みに来ると同じ事言ってるね」

「気持ちは分かる」

「確かに!!」

「だって飲まないとストレスたまって死にそう!!!」

「また何かあったの?」

「聞いてくれる!!!!」

舞ちゃんは連日の生徒からの質問攻め、年配教師からのセクハラまがいの言葉&行動に内心うんざりしていた。
表面ではニコニコと笑顔で対応しているが、内心は鬼もしり込みしそうなくらいの形相で怒っていた。
そんな日々のストレスを飲みの席で発散しているのだ。
初対面の印象からは全然想像出来なかったけど、、、、舞ちゃんは隠し事が苦手で思ったことが顔に出てしまうらしい、学校では細心の注意をして表情筋を殺しているらしい、だから時々引きつった顔して顔マッサージしてるのか、、、。
考えてることは口から出ちゃうけど、何にも考えずに話しているので悪気はない。
素直なのだ、、、、。

「今日ね!授業中に歌の歴史みたいな感じの話をしたんだけど、内容が下ネタみたいで「先生下ネタ好きなんですか?」って途中からちゃちゃいれてくるし!!そんな歌じゃないのに、替え歌知ってるって変な替え歌してくるし!!!!」

「あ~このころの男子はそういい話が大好きだよね」

「まったくよ!!おかげで後半の授業はあんまり進まなかったし、、、」

「なるほどね、、、」

「巧斗と加奈はそんなこと無いの?巧斗は初日から生徒に人気だったからありそうだけど、、、」

「俺はそういう反応は苦手だから聞かないようにしている、、、」

「私は保健室に来る子は怪我とかたまにさぼりだから、ほとんどないかな?」

巧斗は手に持っていたお酒をテーブルに置きながらその光景を思い出したのかさらに疲れた顔でため息をついた。

「巧斗はやっぱりって感じね、、、加奈がうらやましい~私も保険医になろうかな」

「そんなことないよ、舞ちゃんの授業楽しくて分かりやすいってみんな言ってるよ?」

「そうなの?」

「保健室にいると生徒たちの噂話とか色々聞こえてくるんだよね」

この2か月保健室に来た生徒の話をたまたま聞いてしまった内容を2人に伝えた。舞ちゃんの音楽の授業は歌の説明の中に自分なりの解釈を加えて楽しく進めてくれるし、ピアノも歌も上手くて不快にならない。
巧斗くんの数学の授業は黒板だけじゃなくパソコンも上手く使って教えてくれるし、怖そうな見た目だけど分からないところを聞くと丁寧に何度も教えてくれるし、なにより顔が良い!!と。

「、、、最後のは、、」

「話してたのは女子生徒だから、、、」

「モテモテじゃない巧斗せんせい!」

「からかうな」

「だから2人ともそんなに悲観しなくても生徒たちは2人の事大好きだよ」

2人の方を向いて笑顔で言うと、飲みながら聞いていた2人が顔を見合わせ浅いため息をついた。

「どうしたの?」

「加奈は自分の話は聞いてないの?」

「私の話?聞いたこと無いけど、、、」

「加奈先生は見た目通り優しい・親身になって話を聞いてくれる・人見知りみたいだけど話してみると面白い」

「え?え?」

「2か月で性格バレバレね」

「私たちが思うより、生徒たちの方が良く理解してるね」

「「違いない!!」」

同期で飲むお酒の時間は本当に楽しくて時間が経つのがいつもより早く感じる、、、。
出会って2か月だけど、話題が尽きることはないように会話が途切れることはなかなかなかった。
主に話してるのは舞ちゃんと私だが、時々巧斗くんも話に入ってきて思いもよらない一言を言ってきたり、、、。
そして時間が経つ頃には今月末に行われる体育祭の話題になった。

「ところで、月末には体育祭だよね」

「「、、、、」」

「どうしたの、いきなり」

「話題の切り替えが唐突すぎるな、、、」

「体育祭よ!!体育祭!!」

「き、聞いてるよ、、、体育祭そんなに楽しみなの?」

「私は運動苦手だもの、、、、」

「え、、、」

「じゃあなんで話題振ったんだよ、、、」

「元々そのつもりで飲みに来たんでしょ?」

「、、、確かに、、、」