「クソッ、なんでアイツまでいるんだよ!」

理人(りひと)は苛立ちながら頭を掻いた。

理人は龍牙(りゅうが)が睨んでいた通り、実花(みか)の持ち物を盗んで、自宅に保管していた。

「森村(もりむら)さん、なんであんなチャラチャラしたヤツにしたんだよ!
僕じゃダメだったの…?」

理人は苛立ちながら、壁を殴る。

その時、

「うわあああ!」

理人の父親の叫び声が聞こえ、慌てて父親の部屋に行く。

「理人、気をつけろ!
そこに虫が!
うわあああ、くるな~!」

理人は小さくため息をつき、

「父さん、虫なんていないよ」

父親に説明をするが、

「いる、いるんだよ…」

父親は怯えている。