‐「森村(もりむら)さんの件については警察にお話した通りです。
もう関わりたくありません!」

ピシャリと玄関のドアを閉められ、思わず星(あかり)とカナは顔を見合わせて苦笑いを浮かべる。

「これで何回目?」

「あの子、嫌われ者だったの?」

卒業して何年も経ってから、見ず知らずの人が在校時に亡くなった人の事を聞いてくるのだ、警戒もするだろう。

「だいぶ前にお酒に毒薬を入れて何十人もの人が亡くなった話。
あれもN市らしいね。
冤罪の可能性が高いらしいけど、村人は『あの人が犯人に決まっている』、『今更事件を蒸し返すな』って口を揃えて言ったんだよね…」

「自分以外の誰かが捕まってくれたらそれでいいのよ」

星の冷たい言葉に、カナは苦笑いを浮かべる。