二度目のマリッジリング

金銭的な問題から、萌音は高校を卒業すると同時にアパレル関係の会社の事務に就職した。

だが、働き始めてすぐに祖母が病気で倒れてしまい、そのまま呆気なく帰らぬ人となってしまった。祖母の葬儀が終わってから、祖父は萌音に何度もこう言うようになった。

「おじいちゃんも、いつおばあちゃんみたいに死ぬかわからないから、萌音は早く結婚しなさい。萌音が結婚して、新しい家族を作らないとおじいちゃんは心配だ」

「おじいちゃん、私まだ十八だよ?そんな結婚なんて考えられないよ。友達はみんな独身だし」

萌音はそう言ったものの、祖父は本気だったようで、親戚などにお願いして萌音にお見合いの話を持ってくるようになったのだ。

「おじいちゃん!私、お見合いで結婚なんて決められないよ!」

「そんなこと言わずに!一度会うだけでもいいから!な?」

毎日のように結婚やお見合いの話を言われ、萌音は参ってしまった。仕事中もずっとそのことが頭にチラつき、思わずため息を吐いてしまう。