二度目のマリッジリング

何故もう終わる関係だというのにドレスを着せられているのか、萌音は情報整理が追いつかないまま諒の腕を取り、再び車に乗り込む。

そこから一時間ほどかけて車がついたのは、おしゃれなフレンチのレストランだった。最上階の一席に案内され、萌音は椅子に座る。

「あの、どうしてここに?」

「せっかくの一年記念日だからね。記念日は特別な日にしたいから」

諒はそう言ったきり、黙ってしまう。萌音は「もう離婚するのに?」という言葉は飲み込み、料理が運ばれてくるのを待った。

コース料理のメニューが次々にテーブルに運ばれてくる。どれもおしゃれで、料理を毎日のように作っている萌音でさえ作れないほど繊細なものばかりだ。

「おいしいです」

萌音がそう言って笑うと、諒はホッとしたように「そうだね」と微笑む。その笑みに顔が熱くなり、萌音は目を逸らして窓の外を見た。窓の外には美しい夜景が見える。明かりの一つ一つが、まるで星空や宝石箱のように美しい。