「んっ……」
昨日の、優しく触れ合っただけのファーストキスよりも、唇全体が重なってくる圧を感じた二度目のキス。
だけどそれだけ、新の抱く気持ちが伝わってきたようにも思えて高揚してくる。
ゆっくりと離れていく新の表情を確認すると、頬も瞳も熱を帯びていて。
その姿に魅了された鞠は、つい離れていく唇を追いかけそうになり我に返った。
「っ!」
「……もう一回、する?」
「や、あの、充分……です」
「嘘。今“もっと欲しい”って顔してたよ?」
「え⁉︎」
「はい、もう一回」
「ッ⁉︎」
これは、やめ時が訪れるのだろうか。
そんな不安を抱きながらも、心は満たされていくのがわかるし。
累計三回目のキスともなると、緊張の中に心地良さも感じるようになってきた。
好きな人とのキスが、こんなにも幸福感をもたらしてくれるなんて。
この甘い時間がずっと続くのも悪くない、そんなふうに鞠が思っていた時。
ガチャ……
「⁉︎」
図書館のドアが開いた音を耳にして、驚いた鞠は瞬時に新の胸を押し返した。
突然のイチャイチャ時間終了に、もう少し味わっていたかった新が若干不満げな表情を浮かべていたが。
キス現場を先生に、いや他の生徒に見られたら「新に彼女⁉︎」と大騒ぎになる!と鞠は冷や汗をかく。
新を好きだと自覚してから、周囲の目からは逃れられない覚悟もしていた。
しかしそれはもう少し時間を置いてから、なんて考えていた鞠が。
どこかに身を隠そうと辺りを見回してると、聞き覚えのある声がした。
「わ、鞠……?」
「え! 鞠ちゃん!」
「ほ、北斗と唯子ちゃん?」
本棚の影から姿を現した北斗と唯子が、少し驚いた様子でこちらに気づいた。
鞠にとっては、あの雨の日以降避けていた北斗。
加えて、北斗は新をよく思っていないのに、その彼と鞠が二人きりで過ごしていたことが知られて、気まずさを感じた。



