どうして、どうして、どうして……!

 どうして、あなたは死んでしまったの……?

 ずっと一緒に居られると思っていたのに。

 何年も、何十年も、それこそ百年だって、傍に居てくれると思っていたのに、

 あなたはたった十二年で、わたしの許から旅立ってしまった。



 どうして、どうして、どうして……?

 昨年の冬、いつもより寒い年だったのに、ヒーターを強くしてあげなかったから?

 それとも加湿器の具合が悪かったから?

 良く考えて、良く思い出して。

 あなたは何も言わなくても、きっと『サイン』を出していた筈なんだ……なのにわたしはずっと気付いてあげられなかった。



 どうして、どうして、どうして……!?

 わたしは大きなあなたの『カケラ』を(いだ)きながら、いつの間にか速足で道端を歩いていた。

 一年前の今日──。

 十二年共に暮らしたあなたが逝ってしまった。

 わたしは沢山沢山泣いて、それからあなたの(むくろ)を土に埋めた。

 我が家の庭の中で、一番あなたが気に入っていたその場所へ。

 大きなハナミズキの木の根元、あなたは必ずそこで気持ち良さそうにお昼寝していたよね。

 寝顔がたまらなく可愛くて、「起こしちゃうわよ」って母さんに止められても、わたしはあなたのおでこを撫でるのをやめられなかったっけ──。