いつの間に、こんなに歩いてたんだろ? 気が付いたら、駅前から少し離れたわき道に立っていた。 目の前には、派手でも地味でもなく、見るからにお洒落そうな造りの高級レストランがそびえ立っている。 「ここ、入るの?」 「うん。予約してあるから」 「で、でも高そ」 言いかけたあたしの唇に疾風の長い人差し指が触れる。 それだけで、ドキドキのスピードが増していくのがわかった。 疾風は優しく目を細めて笑うと、あたしの耳元で小声で囁く。 「和華ちゃん、オレが何のためにバイトしてると思ってるの?」