部屋の前に着き、疾風がガチャっと鍵を開ける。


ドアの向こうは静かな暗闇。


「……ねぇ。
その……さっきの人たちは?」

気になって訊いてみると、疾風は何事もなかったかのようにケロッとした表情で言った。


「……帰った。
つか、どっか別の場所にでも行ったんじゃね?」

「……そっか」


あたしのせい……。そう思うと、少し罪悪感みたいなものが生まれる。


でも同時に込み上げてくる“嬉しい”という気持ち。

だって友だちとの鍋パーティーよりも、あたしを選んでくれたんだもん。


隣にいたあの娘よりも。

あたしを取ってくれたんだもんね。