疾風はそのままそっと、涙で濡れたあたしの唇を指でなぞる。

柔らかい笑顔に、優しい瞳。


疾風が今ここにいてくれることが……追いかけて来てくれたことが、どうしようもなく嬉しい。


「疾風……あたし、さっき嘘ついた……」

「うん……」

「『大キライ』なんて嘘だよ」

「うん、わかってる」


こうやって、感情的になっていたあたしを理解してくれる。


疾風の方が3つも下なのに、これじゃ本当に逆だ。


すると疾風は、限りなく優しい声で続けた。


「和華ちゃん、今からオレんち来てくれる……?」

「え……?」

「全部、話すから――……」