聞こえて来たのは、「なんだよ」という、あっけらかんとした疾風の声。 その後すぐに、何も知らない疾風が、前にいた男の子二人を押し退けてあたしの前に姿を現した。 「……っ!」 ――見てはいけないものを、見た気がした。 疾風は、右手に買い出ししてきたらしいスーパーの袋を持っていたんだ。 隣に可愛い女の子を連れて。 鍋の材料らしきものがたくさん入った袋を、半分こずつして……。 部屋の前にいるあたしの姿を見た疾風は、文字通り、目を大きく見開いた。 「和華……ちゃん?」