「よーしっ!」 両方のほっぺたをパシッと叩き、気合いを入れ直す。 イメトレは十分。 待ってろ疾風!! 今日こそ『YES』と言わせてみせるんだからっ!! なーんて力強く意を決した時。 ――コツコツコツ…… 遠くから聞こえてくる足音に、あたしは耳を澄ます。 これは時間的に、疾風の可能性が高い。 一歩ずつ近付いて来るたびに、その存在がはっきりとしてくる。 あたしは確信した。 ……いよいよだ。 着々と迫ってくる『その時』を前に、あたしは気持ちを落ち着かせようと、大きく息を吸った。