Cherry Blossoms〜あなたに想いの花束を〜

まるで世界を白一色に染める雪のように美しく、赤く燃えるように病や怪我と戦っていく美しい女神。その花は決して朽ちることなく咲き誇り続ける。

桜士はそんなことを考えながら、バラの写真を撮る一花を見つめた。



数々のバラを楽しんだ後、桜士と一花はバラ園の中にあるカフェに来ていた。カフェのメニューはバラを使った紅茶やバラの形をしたチョコレートなど、カフェでもバラを楽しめるようになっている。

「バラの使われたお茶なんて、とってもおしゃれですね」

メニュー表を見ながら一花が言う。桜士もバラの紅茶を体験するのは初めてだったので、どのような味なのか想像しながら「そうですね」と微笑む。その時だった。

「すみません！こちらにお医者さんか看護師さんはいらっしゃいませんか！？」

カフェのドアが勢いよく開き、三十代と見られる女性が入ってくる。だが、その服や手には真っ赤な血が付着しており、カフェの中は一気に喧騒に包まれていく。