Cherry Blossoms〜あなたに想いの花束を〜

「はい。たまに二人に剣道を教えてもらってるんです」

「なら四月一日先生、俺と一度手合わせしていただけませんか?」

車の中では一花とたわいもない話で盛り上がる。隣県のバラ園へは、高速道路を使えば二時間もかからない。

「わあ、綺麗ですね!」

バラ園に一歩足を踏み入れると、バラの大きなアーチが現れる。それを見て一花が目を輝かせ、写真を撮る。そんな一花を桜士は微笑みを浮かべ、ジッと見つめていた。

「本当に綺麗です」

バラ園には色んな種類のバラが咲き誇り、多くの人が足を止めている。赤やピンク、黄色や白などどれも美しい。だが、どんなバラであっても一花には敵わないと桜士は思う。

「見てください、本田先生。このバラ一色じゃなくてまだらになってます!」

一花がある一つのバラの前で足を止める。ヨーク・アンドランカスターと呼ばれる品種らしい。バラと聞くと、一色だけのものを想像する人が多いだろう。桜士も二色のバラを見るのは初めてで、足を止める。